古物商許可を取得するための要件等

古物商許可の要件

要件等を満たさなければ、古物商許可を受けることができません。要件を満たしているか、以下の3点を事前に確認しておきましょう。

  • 主たる営業所を設けること
  • 営業所ごとに常勤の管理者を置くこと
  • 欠格事由に該当しないこと(申請者本人・法人役員・管理者)

主たる営業所を設けること

主たる営業所を設置しないと古物商の許可を取得することができませんので、許可受けるには必ず主たる営業所を設置する必要があります。

主たる営業所とは、許可の対象である古物営業を実際に行う拠点となる営業所です。

したがって、古物商許可の申請前に営業所となる物件を借りるか、自己所有の物件を使うかを決めて、実際に主たる営業所を設置しておかなければなりません。設置というと大げさに聞こえまずが、どこを営業所として古物商の業務を行う場所にするのかということですので、費用を抑えて古物商を始めたい場合は、現在住んでいる自宅を営業所とすることもできます

なお、営業所として使用する物件を借りる場合、または賃貸の自宅を営業所とする場合は、古物営業における物件の使用権限を疎明するために賃貸借契約書のコピーまたは所有者(オーナー)・管理組合の使用承諾書の提出をお願いされる場合があります。(使用承諾書等の提出は、法律上の要件ではないため、通常は添付資料として求められるものではありません)

あくまでお願いレベルなので、提出しないからといって受理されなかったり、許可要件を満たしているのに許可されないなどといった不利益を受けることはありませんが、求められた場合はできれば提出しておいた方がよいかと思います。

もっとも、使用承諾書等の提出が不要とは言っても、社会のルールとして居住用として契約している建物の場合、それを勝手に営業所として使用することは契約違反となりますので(分譲マンションの場合は規約違反)、古物商に関わらず、営業所・事務所として使用する場合は許可は取っておくべきところではあります。この点、警察からも「居住用としての賃貸住宅や目的が定められている事務所物件の場合は、古物商の営業所として使用することを所有者に申告し、承諾は得ておくように」と指導される場合があります。

法人については、登記上の本店と主たる営業所が異なっていても問題ありません。

なお、古物の仕入れなど古物営業を行わない場所、つまり販売だけを行う店舗は営業所とはみなされません。

また、主たる営業所等で仕入れを行い、別の店舗では販売のみをする場合は「行商」となり営業にはあたりませんのでご注意ください。

その他、古物を保管するだけの倉庫や駐車場なども営業所として認められていません。

営業所ごとに常勤の管理者を置くこと

古物商を営むには、営業所ごとに管理者1人を置くことが必要です。

これは古物営業法の第十三条に次のように規定されています。

「古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。」

管理者には一定の欠格事由に該当する場合を除いて、特別の資格などは必要なく誰でもなることができます。

ただ、以下に示すように現実的な問題として管理者には業務を遂行する上での一定の能力が求められることになります。

管理者とは、営業所の責任者であり、分かりやすく言うと「店長」や「店舗責任者」です。

そのため、店舗を統括する責任者として重要な地位にあり、古物営業の関係法令について知識を有し、従業員等を指導監督できる立場であることが求められます。

また、管理者に国家資格などは必要ありませんが、不正品の流通を防止する観点などから、取り扱う古物が不正品であるか否かを判断するための知識、技術又は経験を有する者を選任することが求められます。

なお、未成年者や下記欠格事由の(1)~(12)に該当する場合は、古物商の管理者になることができません。

つまり、欠格事由等に該当すると許可を受けることができないことになります。そのため、管理者の選任にあたり申請前に欠格事由等に該当しないかどうかをしっかりチェックすることが必要です。

また、管理者は営業所ごとに置く必要があります。(例外規定あり)

つまり、営業所を複数設置する場合は各々に置かなければならず、他の営業所の管理者と兼任することはできないということです。

そして、その管理者は営業所に常勤する者でなければなりません。通勤が困難な場所に住んでいる者(おおむね片道2時間以内)は常勤性に疑いありとして管理者に選任することができません。

管理者には、法人代表者や個人事業主本人がなることもできます。しかし、営業所に常勤せず業務を統括管理できない場合はなることができません。その場合、他の役員や従業員等で常勤できるものを別に選任する必要がります。

なお、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の場合は、取引額が高額であり盗難車などにより犯罪組織の資金源になりやすいこと、あるいは改造車といった不正品が流通してしまうことを防ぐため、管理者は不正品の疑いがあることを判定するための知識、技術又は経験が求められています。

古物営業法施行規則では、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の「古物営業の業務に3年以上従事した者、あるいは一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとする」と定めています。

これは努力義務なので必ずしも備えておかなければならない要件ではありませんが、備えていない場合は申請の際に別の管理者にすることを求められる場合がありますので、可能なかぎり経験を備えている方を管理者に選任するのがよいでしょう。

欠格事由

申請者(代表取締役や事業主)、役員、管理者が下記のいずれかの事由に該当すると古物商許可を取得することができません。なお、役員には監査役や非常勤などすべての役員が含まれます。

申請者、役員、管理者のうち一人でも欠格事由に該当すると許可されませんのでしっかり確認するようにしましょう。

(1)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(2)罪の種類を問わず禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過しない者
※執行猶予期間中の者も含みますが、執行猶予期間が終われば許可を取得できます。
(3)窃盗、背任、遺失物横領、盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過しない者
(4)古物営業法違反のうち、無許可、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過しない者
(5)古物営業法第24条の規定により、古物営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
※当該取り消しに係る聴聞の期日等が公示された日の60日前まで役員だった者も取り消されてから5年を経過しないと取得できません。
(6)古物営業法第24条の規定により、許可の取り消しに係る聴聞の期日等の公示の日から、取り消し等の決定をする日までの間に、許可証を返納した者で、当該返納の日から起算して5年を経過しない者。
(7)集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
(8)暴力団員又は暴力団でなくなった日から5年を経過しない者
(9)暴力団以外の犯罪組織の構成員で、集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
(10)暴力団員による不当な行為等に関する法律により公安委員会から命令又は指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から3年を経過しないもの
(11)住居の定まらない者
(12)心身の故障により古物商等の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定める者
(13)営業について成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
※古物商の相続人が未成年者であり、その法定代理人が欠格事由に該当しない場合は許可を受けることができます。
※婚姻している者は成年擬制により成年者と同一の行為能力を有することになるので、許可を受けることができます。
※法人の場合は、許可を受けるのは法人であるため、その法人の役員が未成年であっても許可を受けることができます。
※管理者については例外は無く、未成年者が管理者になることはできません。
(14)営業所または古物市場ごとに、業務を適正に実施するための責任者としての管理者を選任すると認められないことについて相当な理由のある者。
(15)法人役員に上記のいずれかに該当する者があるもの。

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