店舗で使う車の車庫証明取得方法など/「質問と答え」実例集-Part1

疑問や不安を解消して車庫証明を一発取得!

車庫証明に関する質問と答え実例集

車庫証明を取る場合には、使用承諾書(賃貸の場合)の発行を管理会社等に依頼したり、図面がない場合は配置図を作る必要がありますが、手続き自体は特に難しいことを求められているわけではありませんので、落ち着いて丁寧に進めれば必ずうまくので安心して下さい。

ただ、分かりにくい部分や細かい部分で気をつけることがあることも確かです。また、個々人の置かれた状況よってはイレギュラーがある場合もあるでしょう。きちんと書類を揃えて、申請書も記入例通りに記入したけど警察署から連絡が入った・・・といったケースもあります。

このような疑問や不明点を個人の方や自動車販売店の方からご質問をいただいたり、ご依頼の際に確認を求められることがあります。

そこで、ここでは行政書士として実際にお受けした質問を中心にその周辺知識・方法などを交えてお答えしていきたいと思います。皆さまの疑問や不安の解消に少しでもお役立ていただければ幸いです。

なお、ここでは福岡県(福岡地区)での手続き・取り扱いを前提に解説しています。
他県では取り扱いが異なる場合もありますので、あらかじめご了承下さい。

疑問や不安を抱えたまま手続きを進めていくのも負担になるかと思います。ここで解決しない場合は、ご依頼の有無やお住まいが福岡県内外に関わらず質問を受け付けていますので、お気軽にお電話いただければと思います。

車庫証明に関する質問と答え

質問

普通車を購入したら、車庫証明は必ず取らないといけませんか?

お答え

一部例外(下記参照)を除き、必ず取る必要があります。

車を購入した場合、その保有者は道路以外の場所において保管場所(駐車場)を確保しなければならないことが、法律(車庫法)により義務付けられています。

それを証明するために必要なものが車庫証明書です。保管場所を管轄する警察署に申請し、交付してもらう必要があります。

そして、購入した車の名義を自己名義にする際(移転登録)の必要書類(添付書類)の一つが車庫証明書であり、車庫証明書がなければ名義変更の手続きすることができません。

つまり、普通車の場合は名義変更の手続き前に車庫証明を取っておかなければ(保管場所を確保し、証明されていなければ)、車の名義を自分にすることができないことになります(正確には使用者として登録できない)。

そのため、車を購入したら保管場所の確保と名義変更という一連の手続きにおいて、車庫証明を必ず取る必要があります。

なお、軽自動車の場合は車庫の”届出”という手続きとなり、車庫証明書の交付は受けません。そのため、名義変更手続きの際に車庫証明書を添付する必要がありません。

また、軽自動車の車庫届出と名義変更は連動していませんので、車庫の届出は名義変更の前後を問わず行うことができます。(名義変更の後に行うケースが多いです)

ただし、例外があり、同居の家族などから車を譲り受けるようなケースで、その車の「使用の本拠の位置(個人の場合は、多くが住民票の住所)」と「保管場所の位置」に変更がなければ車庫証明は取る必要はありませんし、名義変更の際にも添付する必要がありません。また、車庫証明の適用地域外となっている地域は取る必要はありません。適用地域外の地域は各県警察署のホームページ等で確認できます。

質問

自営業なのですが、自宅とは別の場所にある店舗の駐車場を保管場所として車庫証明を取得することはできますか?

お答え

使用の本拠の位置(通常は自宅)から店舗駐車場(店舗近隣または併設)までどの程度の距離離れているかにもよりますが、その距離が直線距離で2km以内でしたら、「申請者住所」と「使用の本拠の位置」を住民票の住所、「保管場所の位置」を店舗駐車場の住所とする一般的な方法で申請・取得することができます。

しかし、2km以上離れている場合は要件を満たさないため車庫証明を取ることができません。

2kmの基準となる地点は、使用の本拠の位置(車を使用する拠点となる場所)と保管場所の位置です。その間の距離が2km以内であれば距離要件についてはクリアとなりますが、そうでなければ申請書等に不備がなく、他の要件もクリアしているとしても車庫証明は交付されません。

そこで自宅から店舗駐車場までの距離が2km以上ある場合は別の方法で対処しなければなりません。

その方法は以下の通り。
1.「申請者住所」を自宅の住所(住民票の住所)とする
2.「使用の本拠の位置」を店舗(または事務所)の住所とする(店舗から保管場所まで2km以内である必要があります)

このような形で申請すれば法律上の要件もクリアし、適切に車庫証明を取得することができます。

店舗と同じ所在地に駐車場があれば、使用の本拠の位置と保管場所の位置は同じ住所となります。店舗近くの月極駐車場(2km以内)などであれば、使用の本拠の位置に店舗の住所、保管場所の位置に駐車場の住所を記載します。

ただ、この形で申請する場合(申請者住所と使用の本拠の位置が異なる場合)は、申請の際に使用の本拠の位置(ここでは自営業を営む店舗)が車を使用する拠点であることを証明する書類が追加で必要になります。

その書類は一般的に所在証明と呼ばれ、使用の本拠の位置において生活実態、あるいは活動実態があることを証明するための書面になります。

具体的には、もっとも確実なのは電気・水道などの「公共料金の領収書」です。

その領収書に申請者名と店舗住所の記載があれば、活動実態があるとみなされますので、当該申請の際に添付書類として領収書の写しを提出すれば問題ありません。

所在証明についての詳細や使用できる書類は「車庫証明の所在証明に使える書類は何?」をご覧下さい。

質問

父が乗っていた車を廃車にして、同じ車庫(父名義の戸建て併設の車庫)に私の車を保管する場合、申請において何か注意する点はありますか?
父の車は廃車済みです。

お答え

家族間で同じ保管場所(区画)を使う場合において、その保管場所に別の家族の車が停まっている(納車と同時に入替など)、または停まっていた(売却・廃車済み)場合は、その車を前車(入替車)として代替申請することになります。

ご質問のケースでは、申請上、お父様の車と入れ替えということになりますので、代替で申請し、廃車にしたお父様の車のナンバーを前車として申請書の前車欄に記入するようにします。

つまり、お父様の車を自分の車とみなして、手続き上は一般的な代替として申請すれば問題ありません。

具体的には、申請書の「新規・代替」欄には「代替」に〇を付け、「前車登録番号」欄にはお父様の廃車にした車のナンバー(例:福岡〇〇〇ね◆◆◆◆)を記入すれば大丈夫です。

このように前車(別の家族の車)がある、またはあったのに誤って新規で申請してしまうと、警察署より連絡が入り、前車の状況について説明を求められます。状況によっては、前車が移動した事実の証明(※)を求められ、大変面倒なことになってしまいますので、十分にご注意下さい。
(※)移動した事実の証明=例えば、前車の移動先(別の保管場所)で車庫証明を取得した際の受理番号を通知、前車を転居先に移動した場合は受理番号通知または住所変更後の車検証の写し提出、売却した場合は売買契約書のコピー提出など。

このように申請する保管場所に前車(自分の車または家族の車)があれば、必ず代替で申請するようにして下さい。代替申請で前車の登録番号を記入しておけば証明を求められることはありませんので、スムーズに手続きが進みます。

今回のケースのように家族間で同じ保管場所(区画)を使う場合、初めてその保管場所を使うのでなければ、家族の誰かが使っていた(本人も含む)ということになります。知らなかったでは警察署は認めてくれませんので、特に廃車・売却などで現在車が停まっていない場合は、家族の誰が停めていたのか、その車のナンバーは何かをしっかりと確認しておく必要があります。

なお、新規での申請は、月極駐車場などを新たに借りて停める場合や本人および家族の誰も使ったことがない保管場所に停める場合が該当します。

質問

長崎県から福岡市に引っ越してきたのですが、軽自動車は車庫届が必要だけど、車検証の住所変更手続きでは車庫証明書の添付は必要ないと聞きました。
そうすると、車検証の住所変更前と後、どのタイミングで車庫の届出を行えばいいのでしょうか?

お答え

車庫の届出は、車庫法により「保管場所の位置を変更した日から15日以内にしなければならない」と定められています。

軽自動車は車検証の住所変更手続きに車庫証明は必要ありませんので、車検証の住所変更手続きの前後に関係なく、上記事由が生じた場合はその日から15日以内に手続きする必要があります。

また、車検証の住所変更手続きについては、車両法(道路運送車両法)により「住所を変更した日から15日以内に申請をしなければならない」と定められています。

したがって、車庫届の適用地域(福岡市は適用地域)では車庫の届出を、そして同時並行的に車検証の住所変更手続きを行う必要があります。

つまり、普通車は住所変更に車庫証明の添付が必要ですので、必然的に車庫証証明を先に取る必要がありますが、軽自動車はそれぞれの手続きに繋がりがないないため、期限さえ超過しなければどちらを先に行っても問題ありません。

なお、車庫届が「保管場所の位置を変更した日」、車検証の住所変更が「住所を変更した日」として厳密には基準日が異なりますが、基本的には住民登録をした日を基準に15日以内と考えていただければ手続きの期限を超過することなく適切に手続きすることができるでしょう。

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