車庫証明書の交付予定日を過ぎた後と有効期間経過後の取り扱い

車庫証明書の交付予定日

交付予定日を過ぎた後の取り扱い

車庫証明の取得は、必要な書類を揃えて管轄の警察署へ申請し、後日車庫証明書や保管場所標章を受け取りに行くことでなされます。

申請後、警察署の方で何をしているのかと言うと、実際に調査員が車の保管場所まで出向き、申請内容と相違がないか調査をします。そこで問題が無ければ晴れて交付となります。

交付は、福岡県の場合、警察署ごとに交付日(予定日)が定められています。交付日は申請先の警察署によって違いがあり、早いところで中1日、遅いところで中4日です。

ちなみに、多くの警察署では「受取可能時間」が設定されおり(北九州地区以外)、交付日当日はその時間以降でなければ受け取ることができません(車庫証明書が出来上がっていれば、若干早く行っても受け取れる場合もあります)。

なお、受取可能時間が設定されている場合は、13時~や14時~などお昼以降の時間を設定しているケースが多いですが、これは交付日当日の時間なので、交付日の翌営業日からは、全日(9時~16時)受け取りが可能となっています。

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交付日以降はいつまでに取りに行く必要があるの?

通常、行政書士が依頼を受けた場合は交付日当日に受け取りに行くことが多いですが、スケジュールによっては後日受け取りに行くこともあります。

そこで疑問が湧いてきます。

  • 車庫証明書はいつまでに取りにいかないといけないのか?
  • いつまでも取りに行かないと無効になってしまうのか?
  • 無効になった場合は、再度取り直さなければいけないのか?

自分で申請する場合でも、通常は交付日当日かその後数日以内に受け取りに行くと思いますが、仕事の都合などでなかなか受け取りに行けないこともあると思います。

ディーラーや中古車販売店から車を購入する場合は、当該店が手配するためそのまま受け取らずにいることはまずありません。購入者自身で車庫証明を取得する契約でも車庫証明書が届かないとお店から連絡を受けるため、受け取らないことはないと思います。

しかし、自分で車庫証明を取るケースで、個人間売買での車の名義変更(移転登録)や転居での住所変更(変更登録)の手続きで車庫証明書が必要な場合は、誰からも指摘されなければ、受け取りに行くのを忘れたり、行ける日に行こうと思ってそのまま行かないケースもあります。

このように取りに行かなった場合、車庫証明はどのような取り扱いがなされるのか?

ここでは、そんな疑問をひも解いてみたいと思います。

車庫証明書には有効期間がある

実は、車庫証明書には有効期間があり、これが有効な車庫証明書を受け取るための期間となります。

この有効期間は名義変更などの手続き時の添付書類としての有効期間です。のちほど詳しく解説しますが、保管場所を確保していることの事実が消えるわけではありません。

その有効期間は交付日から「おおむね1ヶ月」(福岡県の場合)とされています。

つまり、名義変更などの手続きで有効な車庫証明書を添付するためには「おおむね1ヶ月」以内に受け取りに行き、その期間内に名義変更をする必要があるのです。

”おおむね”としてややぼかししているのは、行政機関が休みの日(土日祝・年末年始)を含まない1ヶ月程度を期間としているためです。

そのため、1ヶ月を超えたら即無効になるわけではありません。

それを考慮した実際の有効期限は、40日とされています。(現在は40日間が全国の運輸支局統一の有効期限となっています)

期限を計算するときの起算日は、車庫証明の証明日翌営業日が1日目となります。”翌営業日”ですので金曜日が証明日だとしたら、月曜日(祝日でない場合)が1日目となります。

そこから土日祝日なども含めて40日目が期限となります。ただし、40日目が役所の閉庁日(土日祝・年末年始)である場合は、その翌営業日が期限の最終日となります。
(例:40日目が土曜日である場合、翌月曜日が期限となる)

期限の計算に誤りあったら大変ですので、名義変更等の手続きがギリギリになる場合は、必ず運輸支局等に確認して下さい。車庫証明の証明日を伝えると正確な期限(最終日)を教えてもらえます。

有効期間が設けられている理由

ではなぜ、有効期間が設けられているのでしょうか?

これは、運輸支局等で行う車の手続きで、車庫証明書を添付し提出する必要があることと関連しています。例えば車の名義変更や住所変更などですね。

これはどの行政機関等に対する手続きでも同じですが、添付書類に発行・交付から1ヶ月以内や3ヶ月以内などの有効期間を定めて、その期間の前後で書面の有効性と客観的事実を判断しています。

あまり古い書面では、今もそこに住んでいるのか?(住民票等)、今も保管場所を確保しているのか?(車庫証明)など、期間の経過とともに事実に疑いが出てくるためです。

車庫証明書であれば、有効期間を超えているものは今もそこに保管場所を確保しているかどうかに疑いが出て判断することができないため、添付書類としては認められないことになるわけです。

有効期間が超過すると事実も失われるのか?

では、期間経過とともに保管場所(駐車場・車庫)が確保されていることの事実も失われてしまうのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

期限が設けられている理由でお話しした中でほぼ答えが出ていますが、有効期限は、あくまで「車庫証明書」という手続きに用いる書類としての有効期間だからです。

現在の事実状態を証明してもらう役所とは異なる役所等に提出する書類なのに、期限が切れたからといって、その事実がなくなるとなればおかしな話です。

つまり、有効期間は”証明書”としての「書面そのものの有効期間」ということです。有効期間は提出する公的書類の有効性を判断するもので、事実が否定されるものではないのです。

例えば、取得した住民票の有効期間が切れたからといって、住民登録が消えてしまうとなればどうでしょうか。大変なことになることが容易に想像できると思います。

車庫証明についても同じです。

正式な手続きを踏んで証明してもらったのに”車庫証明書”という書面の有効期限が切れただけで、その事実が失われてしまうとなれば大変なことです。こんなことになれば、常に車庫証明を取ることが必要になり、車の使用者に大変な労力と金銭的負担を強いることになってしまいます。

ということで、車庫証明書はその時点の事実を証明するための書類であり、その有効期間は、客観的事実を判断するための期間だとうことを知ってもらえればと思います。

車庫証明書をいつまでも受け取りに行かなったら?

車庫証明書を受け取りに行っても、行かなくても、保管場所を確保していることの”事実”(義務を果たしていること)に変わりはありません(警察署の車庫証明担当官に確認済み)。

車庫証明を申請し、交付が可能な状態(交付日以降)になった時点で、保管場所が確保されていることが警察署によって証明されている状態になるからです。

ただし、車庫証明書を受け取りに行かなったら、保管場所標章ももらえないことになります。

保管場所標章は車庫証明書を受け取りに行った際に一緒に交付されるシールで、保管場所を確保していることを外部から分かるように車の後面ガラスに貼っておくものです。

そこで問題となるのが、標章を貼ることは法律上の義務になっているということです。

それを規定しているのが、『自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則』。

同規則第七条で「保管場所標章を当該自動車の後面ガラスに、当該保管場所標章に表示された事項が後方から見やすいようにはり付けることにより行わなければならない。」と定められています。

そのため、受け取りに行かなった場合は、少なくともこの義務を果たしていないことになりますので注意して下さい。(ただし、罰則はありません。それがゆえに貼っていない車が多いのも事実です)

なお、期限を過ぎた車庫証明書は名義変更などの手続きでは使えませんが、その車庫証明書や標章自体は、交付日以降2ヶ月後でも3ヶ月後でも受け取ることはできるということです(警察署の車庫証明担当官に確認済み)。ただし、名義変更等の手続きをしていないことが露見されることになり、添付書類としても使えませんので、再申請した方がよいかと思います。

適切かつ計画的に手続きを行うことが大切です

名義変更や住所変更などの手続きを行う時に必要な添付書類の一つが車庫証明書であることは上述した通りです。

保管場所の証明(車庫証明)を受けることと名義変更等の手続きは別の手続きですが、名義変更等の手続き時に多くのケースで車庫証明書が必要になるため(省略可能な場合もあります)、これらには緊密な関連性があることも事実です。

そのため、車庫証明書の有効期限が過ぎても受け取っていないような場合は、名義変更等の手続きもされていないことになってしまいます。

したがって、保管場所の確保義務は果たしていても、結果的に名義変更(移転登録)や住所変更(変更登録)に関する義務を規定している道路運送車両法違反となってしまうのです。(申請直後に売却や転居をして当該車庫証明の申請に係る事実が無くなった場合を除く)

道路運送車両法には、名義変更や住所変更などは「その事由があった日から15日以内」に手続きしなければならないと定められています。

名義変更等が必要となる事由(売買・譲受)、または住所変更が必要となる事由(転居等)は、車庫証明の申請事由(車を購入したとき・使用の本拠の位置を変更したとき等)とも合致し、事実上、車庫証明を取る目的はそのあとに続く手続き上の必要性からであることが分かります。

そのため、一連の手続きを適法に行うためには車庫証明もそれまでに必ず取得しなければならず、計画的に進めれば車庫証明書の有効期限が切れてしまうことはなく、また車庫証明書を受け取らないと手続きができないため、受け取らないこともありえません。

ただ、早く車庫証明を取りすぎた場合や車庫証明取得後、名義変更等を後回し、または失念してしまった場合は結果的に有効期限切れを起こしてしまうことがあることも確かです。

この場合、保管場所を確保していることの事実が存在したままだとしても、添付書類としての役目は失われることになってしまいます。そのため、有効期限が完全に切れたたあとに名義変更等の手続きを行う場合は、再度車庫証明を申請し、交付を受けることが必要になります。

名義変更等についても、手続きを後回しにし、または失念してしまって15日以内に行わかなった場合は、法律違反となり罰金刑に処せられる場合があります。法律違反とならないように、名義変更等の手続きもきちんと行うことが求められますので、この点は十分に留意して下さい。